高校時代の情熱に導かれてー代診松岡裕之先生ご紹介|エルムクリニック 内科・消化器内科|長野県飯田市の内科・消化器内科

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高校時代の情熱に導かれてー代診松岡裕之先生ご紹介|エルムクリニック 内科・消化器内科|長野県飯田市の内科・消化器内科

高校時代の情熱に導かれてー代診松岡裕之先生ご紹介

 5月30日-6月1日に、日本消化器内視鏡学会に参加するため、東京に行きます。30日はもともとクリニックの休診日なので問題ないのですが、31日、6月1日と2日もクリニックを閉じるのはどんなものかなあ、と感じていました。ふと、「そうだ、松岡先生に頼んでみよう」とひらめきました。松岡先生は、今年の3月飯田保健所(保健所長をなさっていました)を定年退職されたので、もしかしたら両日、または片方だけでも頼めるかも知れないと。お聞きすると、6月1日なら空いてらっしゃるとのこと、さっそくお願いしました。

松岡先生を知ったのは、去年、医師会主催の講演会でした。

新型コロナについての話題がメインでした。記憶しているのは、抗原検査のキットについて、鼻腔、鼻咽頭、咽頭、唾液では、キットの色づき方が違うということと、マスクの思わぬ効果についてのお話でした。前者について、一番反応が強いのは咽頭から検体を採取した場合。コロナにかかると熱が出る前に喉が痛くなるけれど、そこにウィルスがたくさんいるのでしょうね。後者については、畑仕事をするときにマスクをするのは空間が空いていてコロナ感染予防の観点からは効果がないばかりか、熱中症の危険も高くなるので、「やめとけ」と話していたが、コロナ禍で新たな非結核性抗酸菌症の発症がなかったのはマスク効果が考えられるとのこと。というのは、非結核性抗酸菌は、土壌、水、塵埃(じんあい)などの自然環境に広く存在しているので、土埃を吸わなくなったのが大きいのでしょう。非結核性抗酸菌症は肺結核と違って人に移さない点はいいのですが、治りにくく、肺の空洞がじわじわ広がるというやっかいな病気です。それがコロナ禍でなくなったのは思わぬ効果ですね。

保健所長をする前は医動物学(蚊によるマラリアなど、動物によって起こる感染に関すること)の研究をされていて、海外生活も長かったようで、その研究内容にも興味が持てました。例えば、マラリア撲滅というとまずは媒介動物の蚊を駆除することが多いのですが、刺されたあとで生殖母体(ガメサイト)が存在すると他の人へ感染させる能力を持つこと、なぜかガメサイトを持つのは10歳以下の子供が多いとわかり、10歳以下の子どもにガメサイトの有無を調べ、抗マラリヤ薬と抗ガメサイト薬を投与したところ、実際新しいマラリア患者さんは出なくなったとのこと。

秋のある日、ふと待合室を覗くと見慣れた顔が・・・

なんとその松岡先生だったのです。なんでも、医師の友人が経営しているクリニックに通っていたのですが、閉院する医院があった影響で混雑しており、「エルムクリニックなら空いているだろう」(笑)と受診されたとのことでした。きっかけはなんであれ、松岡先生が来てくださったのは嬉しいこと。図々しい私は、何回か通院してくださったあとで、上記のお願いをしたわけです。

せっかくだから、もっと先生のことを知って、皆さんにも紹介したいと昨日インタビューをしました。

「どうして、熱帯地方の感染症の研究をしようと思ったのですか?」と聞くと、そもそも発展途上国の結核について取り組みたくて医学部に行かれたとのこと。なんでも、高校時代にネパールの赤ひげとも呼ばれた岩村昇さんの著書(おそらく、「ネパール通信」と「山の上にある病院」か)を見て感動し、自分も取り組んでみようと思ったそうです。岩村先生は、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)からの募集を見て使命感を感じ応募し、当時国民の平均寿命が37歳というネパールで、以後18年間、結核、マラリア等の伝染病の治療、栄養改善などの予防に努めた方です。

下記URL参照

https://www.jrc.or.jp/chapter/ehime/pdf/b4a52bdde83926c6bb9dfb746515a598eef8f607.pdf

松岡先生は、その方面に進む前に、緊急の患者さんにもすぐ対応できるような力をつけたいと、臨床研修制度のない時代に早くから研修を取り入れていた長野中央病院にて研修を受け勤務し、その後長野中央病院からJICA経由でマラリア研究のため、インドネシアへ赴任したそうです。

それを皮切りに、マラリアに興味を持ち、マラリアを含む「医動物学」の研究の道に進み、なんと自治医大の教授にまでなられたようです。

60歳を機に研究者の道を離れ、公衆衛生医として働くことを決意し、飯田保健所に勤務、保健所長としてつい最近まで働いていました。そこで、結核にも取り組むことになり、「結核で始まり(医師になろうという決意)、結核に戻ってきた」と表現してました。飯田市は結核罹患率が全国平均と比べて少ないのですが、外国人と高齢者の結核の再燃がメインだそうです。なお、高齢者は呼吸が弱いので結核になっても感染力が弱く、対応を変えたほうがいいのではないだろうか、と松岡先生はおっしゃっていました。

話は変わって、コロナ禍があけて開放的になったためか、梅毒、B型肝炎、クラミジアなどの性感染症が全国的に増えていて、飯田も例外ではないようです。感染症について相談したい方、これを読んで松岡先生に興味を持って、血圧の薬などを処方してもらうついでに会ってみたい方、ぜひ6月1日土曜日、エルムクリニックを受診してくださいね。

(ちなみに、性感染症は保健所で無料で検査できます。当院でも有料になりますが検査ができますし、当院で治療ができる感染症もあります)