6月1日から診療法定改定なるものが行われ、それに向けて事務のお姉様方は大忙しとなった。事務仕事が大の苦手な吾輩も無関係ではいられなく、頭を抱えることになった。その一つが、生活習慣病管理料をどうするか、という問題である。

　生活習慣病管理料とは、代表的な生活習慣病である高血圧、脂質異常症（高悪玉コレステロール血症、高中性脂肪血症、低善玉コレステロール血症を総称する）、糖尿病について、今まで特定疾患管理料なるものを取っていたが、それがはずれ、その代わりとして、生活指導をするならば、生活習慣病管理料をあげるよ、というものである。ただ、指導を行っただけではその費用はもらえない。証拠として、「生活習慣病療養計画書」を書き、それを取っておくのが条件である。

　私は、内心「うわっ」と思った。というのは、それ以前から、肥満外来に来ている方に、その「生活習慣病療養計画書」なるものを書いていて、その煩雑さを知っているからだった。今、肥満外来は保険診療でやっているが、計測、指導などで結構手間がかかる。その関係で、事務の方が私にそれを勧めたという経緯である。文字を書くのがとろい私は、書くことにかなりの時間をとられてしまうのを歯がゆく思っていたのだ。

　いっそ患者さんを早く回すために、生活習慣病管理料をいただくことを諦め、サクサク薬だけ出す道も考えていた。が、近隣の病院を探ってみると、話を聞いたすべての病院が「生活習慣病療養計画書」を書いて、生活習慣病管理料をいただく予定だと知って、当院も同様にすることにした。

　いざ、６月に入ると患者さんは、「生活習慣病療養計画書」の作成に協力的だった。今までは、例えば高血圧の方だと、血圧手帳をさっと見て、「コントロールはまずまずですね」と処方するだけだった。けれども、6月からは療養計画書を書くからには、と高血圧になった原因はご自分ではなんだと思うか、いつから発症したのか、家族歴は、など多岐に渡って聞くようにした。すると、今まで薬だけ出していた関係とは違い、患者さんの背景も見えてきたのである。3月18日のブログ「内科開業医は何でも屋の家庭医」に書いたように、内科開業医は家庭医でもあると思っているわけで、患者さんの背景を知ることができたのは思わぬ効果であった。さらに、これを書くために医師会からの文書を見ると、「行動目標」と「達成目標」は単に生活習慣病を改善するための目標ではなく、人生にハリを持たせるための目標にするのもありうると知った。医師会からの目標例をあげてみましょう。

「行動目標」では、「毎日ジョギングをする」のような健康上の目標のほか、「週に一度新しいスキルを学ぶ」、「毎日一冊本を読む」

「達成目標」では、「体重を１０Kg減らす」のような生活病改善につながるような目標の他、「新しい仕事を見つける」、「ビジネスで売上を５０％増やす」など。

書くこと、人に宣言することで目標は叶えやすくなります。我輩は、母親から「5年日記」をプレゼントされ、その冒頭に「2020年までに実現したい１０のこと」を書く欄がありましたが、なんと全部実現できたのが２つ、一部実現できたのは３つでした。まずまずでしょ。

みなさんも、「生活習慣病療養計画書」に大きな目標を掲げて実現させてみませんか？

　生活習慣病はありませんが、私も書かせていただきますね。

「行動目標」毎日、診療の勉強を１時間以上、聖書の勉強を３０分以上ずつする

「達成目標」クリニックの２周年を盛大に祝うことができるようにする。