痔のレクチャーを受けに古巣へ
- 2025年5月15日
- クリニック業務
去る、3月29日、痔のレクチャーを受けに古巣に行ってきました。
大腸カメラをやっている関係で、よく遭遇する痔疾患。
が、どこまでを痔と診断するか、どこで専門医に紹介するかで迷う。
古巣の健和会病院の本田医師が私の在籍中に大腸肛門病学会専門医・指導医を取って、院内勉強会でもレクチャーしてくださったことを思い出し、レクチャーしていただくことにしました。
本田先生はお忙しい中をぬって、レクチャーしてくださいました。
上の写真は、肛門鏡。
高いものではなさそうなので、当院でも近い内に購入しようと思っています。
右図は肛門疾患。痔核、裂肛、痔瘻・
痔について、ちまたでは、いぼ痔、切れ痔と言われていますが、学問的には前者は痔核、後者は裂肛といいます。
痔核とは肛門付近にできた静脈瘤のことをいい、歯状線(皮膚の組織と腸の組織の堺)より直腸側にできたものを内痔核、皮膚側にできたものを外痔核といいます。
内痔核は大腸カメラで発見でき、外痔核は見た目でも発見できます。
それに対して切れ痔(裂肛)は発見できないと思っていました。
が、慢性的な裂肛の場合、見張りイボと呼ばれるポリープ状のものができることを学びました。ちょうど傷が治ると、痕になって残ることがあるようなものです。
レクチャーを受けたのち、排便時出血のあった青年の大腸カメラをする機会があり、これと言った所見はなかったのですが、見張りイボらしきものを発見しました。
聞いてみると、切れ痔を繰り返すような症状があったようで、さっそく痔の薬を出しました。
ところで、健和会では痔を発見しても、大腸カメラをして大腸癌がないかどうか確かめているようですが、当院でもできるだけ、そうしていきたいと思います。
というのは、「痔だから大腸カメラはしたくない」とおっしゃった方がいて、健和会に紹介したのですが、直腸癌が肛門近くに出てきたとのことでした。
その時、少し古巣に対して恥ずかしい気持ちでした。
なお、勤務医時代、痔だからと便潜血陽性を放置していた人から、進行大腸癌が見つかったケースもありました。
痔の他に、肛門付近の疾患には、痔瘻と呼ばれる肛門付近に膿がたまる病気があります。
皮膚のすぐ下に膿がたまる場合もあるが、奥深く膿がたまる場合もあるようです。
後者の場合は、麻酔をして排膿する必要があるようです。よって、すぐに紹介します。
表面近くの痔瘻の場合は内科でもできるだろうから、ただちに排膿するのが正解とのことでした。
実は健和会時代、本田先生の発表を聞いたとき、「私も肛門疾患の修行をしたい!」と思ったものですが、空想に終わっていました。
開業した今、こういう機会をいただけたことを感謝する次第です。
今後は、内科・消化器内科医として、またかかりつけ医として、肛門疾患についてもできる範囲でできるだけのことをしていきたいと思っております。