禁煙外来へようこそ
- 2023年12月5日
- クリニック業務
スパイロメーター(呼吸機能検査を行う装置)とCO測定器を導入し、開設した禁煙外来。
それなのに、今までの受診者四人、成功者一人。
スパイロメーターは喘息やCOPD(chronic obstructive pulmonary disease:慢性閉塞性肺疾患)の診断にも役立つものの、そちらの方も受診者が少ない。せっかくなので、禁煙の講義とともに、それらの検査を体験していただこうと、この12月2日(土)の昼休みに禁煙についての講習をさせていただきました。
禁煙を勧めても多くの人は抵抗するんですよね。
私が威厳がないからかな、とも思ったのですが、威厳のありそうな某産業医の先生ですら、「禁煙をお勧めするんですけど、聞いていただけない」とおっしゃっていましたので、「健康のために禁煙しましょう」と言ってもおいそれと受け入れられないのが実情でしょう。
ちょうど、「勉強しなさい」と親にガミガミ言われるとよけいに勉強する気がなくなる駄々っ子的な心理もあるのかもしれません。
患者さんに、よく咳で苦しんでいる人がいて、その方が喫煙者なので、禁煙をお勧めしたのですが、一笑に付されてしまいました。
そんなわけで、今回の講習は大々的には宣伝できずに、恐る恐る声掛けを行いました。
それでも、せっかくなので、喫煙者、元喫煙者、非喫煙者に声をおかけし、快く来ていただけました。
が、誤算がありました。
非喫煙者の一人は夫が喫煙者で若い頃もヘビースモーカーに囲まれていたそうで、もう一人の非喫煙者はスナックのマスターをされている方なので、受動喫煙の機会が多いわけで・・・
そのためか、肺年齢が高く出てしまいました。
この方は、元喫煙者。肺機能は正常でした。禁煙したきっかけは、ピロリ菌の除菌の際、服薬中は禁酒・禁煙したほうが除菌確率が高くなると知って、禁煙外来に通ったそうです。医師や病院のスタッフが褒めてくれたのでやる気になったとのことでした。
ニコチンに中毒性があるのは、一時的に多量のドーパミンを出すためで、タバコを辞めると禁断症状が出るのはドーパミンのトリガーが切れるためなのですが、褒められるのは健全なドーパミンを出すのに有効なんですね。私はあまり褒め上手ではないので、生活習慣病指導のためにももっと褒め上手になりたいなあ。
今回、この講習会のために自分でも勉強したわけですが、「禁煙学」なる書物があるほどに、禁煙って奥が深いと知りました。
「この講演、高校生や中学生の前でして欲しいわ」と言われましたが、本当にそれがいいのでしょうね。
他の依存物質と違って、タバコは最初はむせたりして美味しくないのだそうで、だんだん吸っているうちにそれなしにはいられなくなるようです。
なお、現在の喫煙者は殆どは24歳までに喫煙するそうで、多くは未成年で始めるようです。そうすると若い人への教育が有効なのでしょうね。これを見た教育者の方がいらっしゃったら、呼んでくださいね。
はじめは禁煙に興味がなさそうだった喫煙者の方も、禁煙に関心を示してくださったようで、このまま禁煙外来に来てくださると嬉しいな。60歳で禁煙しても、肺癌や心筋梗塞のリスクを減らせるようなので、「もう今更」とは言わず、どうぞ禁煙外来に来てくださいね。