勉強と遊びの両立、勉強と部活の両立、勉強と恋愛の両立、仕事と家庭の両立というフレーズは時々聞くけれど、仕事と勉強の両立というのは、あまり聞かない。だが、仕事に就いている人にとっては、少なくても勉強と遊びの両立、勉強と恋愛の両立よりはるかに達成しにくいと感じている人が多いのではないだろうか？
　まずは仕事は遊びやデート以上にエネルギーを使い、勉強に必要な心身のエネルギーが残らないという問題がある。また、多くの場合、遊びやデートは喜びを伴うので気持ちがハイになり、その高揚した気分を持って勉強できるが、仕事の場合、時には上司に怒られたり、顧客からクレームが来て、嫌な気分のまま勉強に突入ということにもなりかねない。
　なお、職業上必要な勉強もあるが、直接すぐに仕事に反映できるとは限らない上、少なくても勉強している間は仕事ができないので、勉強することに罪悪感を感じている場合もあるだろう。学会や研修会に参加するのも、申し訳なさそうに申し出るケースも少なくない。「学生の仕事は勉強」と言われているように、学生時代は、勉強することが価値あることと信じることができるが、職業に就くと勉強することを誇れなくなってしまいがちだ。

　一方で、ある知人が「お酒は好きだけれど飲みすぎると体を壊すし、タバコは吸わないし、賭け事もしない。女遊びっていうのも飽きるだろうし、勉強が一番の娯楽かなあ」と言っていた。共感する。そう、人間はホモ・ルーデンスというように、大人でも遊ぶ。そしてある種の人にとって勉強は最大の「遊び」なのである。でも、そう考えると、ますます勉強することに罪悪感を伴ってしまう。

　私自身も、開業したばかりで学会に行くことに罪悪感を感じた。その間患者さんを診ないことでご迷惑をおかけするかもしれないし、経営上の問題もある。母親が学習塾を経営しているが、英語の実力が今ひとつと感じたので勉強して英検を受けてみたら、と勧めたが、「そんな時間がない」と拒否した。その時は母を批判する気持ちがあったが、経営者になった今、母親の気持ちも理解できるようになった。さらに、色々な勉強会や行事に参加してよく店を閉じていた喫茶店が、久しぶりに行ってみたら存在していなかった。

　あれやこれやで、気が咎める思いを伴って学会に参加した。Web参加という手もあるが、去年Web参加を申し込んだものの、IT音痴の自分は一度もアクセスできず、結局参加費12000円を払っただけだった。色々な機器に触れることができ、特殊な専門書を手に入れることができるのも現地参加のメリットだ。しかも、せっかく苦労して取った専門医。看護師さんが内視鏡技師の資格を取ることができるには、専門医がいる施設で2年間働かなければならない。うちの看護師にも技師を取ることを奨励しており、私が専門医の資格をなくすわけにはいかない。ゆえに今回は学会に参加した。

　それから、あまり経たないうちに、7月1日に肥満学会のセミナー、産業医の講習の研修会の連絡が入った。参加したほうがいいと感じたが、また休むことに心の痛みを感じている。それでも、ダブルヘッダーで昼休みより、終日参加することにしました。

　土曜日しか医者にかかれない方もいらっしゃるので、ご迷惑をかけて申し訳ありませんが、その分、しっかりとinputしてきますので、よろしくね。

　それにしても、この気の咎め感、健全でないかもしれない。昔、デートをした分、一生懸命に勉強したことがあるように、上手に、仕事と勉強を両立できるようになりたいな。