熱中症講演
- 2023年6月11日
- お知らせ
6月10日、13:30~14:30に熱中症に関する講演をさせていただきました。
写真は、熱中症予防対応の服装で講演に望み、戸外作業用の帽子を被ったところです。4名のみの参加でしたが、内容的には満足の行くものでした。
2019年に華甲大学で講演させてもらったものを改定しました。地域の方への啓蒙のためにしましたが、何よりも自分の勉強にもなりました。
これで、熱中症の方が来院されても、対応は万全です。
でも、意識障害(意識がなかったり、普段と言動が違ったりしていたら)を伴う場合は、当院ではなく、救急対応のできる病院に搬送してくださいね。
講演の内容を少しシェアしますね。
・熱中症は体温のセットポイント(脳の視床下部で体に命じた体温。通常は体温36~37℃)はそのままなのに、恒常性を保つためのしくみ(汗をかく、血流をよくする、毛穴が開くなど)がオーバーワークして起こります。
・熱中症の症状は、倦怠感、頭痛、痙攣、しびれ、動悸、異常な発汗、高体温(ときには体温計の限界以上に)、顔面紅潮、息切れ、めまい、意識障害、不穏(異常な言動)と多岐に渡ります。暑いところに長くいて、これらの症状が出たら熱中症を考えてください。
・熱中症には解熱剤は効きません。38度以下になるまでひたすら冷やします。
・予防にも、治療にも水分摂取が重要です。塩分も失われるので、0.1~0.2%の食塩入りの水(以外に薄味で塩気をあまり感じません)を取ることが推奨されています。熱中症の危険があるときは、喉が乾いていなくても、20~30分おきに、コップ1杯程度を飲むことを勧められています。
・経口保水液としてOS-1が適当ですが、自分で作ることもできます。水1Lに対し砂糖大さじ4杯半、小さじ1/2を入れて溶かします。(会場で味見していただきました。OS-1や自家製保水液が苦手な人はミネラルウォーターを飲みつつ、時々塩飴、塩をなめるなどの方法で塩分を補うのもいいでしょう。コーヒー、お茶などカフェイン入りのものは利尿作用があるので、水分を補う観点からは推奨できません。お茶で補いたい人は麦茶がいいでしょう)
・エアコンを上手に使いましょう。高齢者はエアコンを嫌う傾向にありますから、風通しをよくして過ごしてもいいのですが、うんと暑い日はエアコンをやはり使ってください。冷えすぎないように、28度程度に設定してください。
・暑い環境の中で労働や運動したために起こる労作時熱中症の他に、安静または安静に近い状態のときに発症する非労作時熱中症があります。高齢者の場合、家の中でじっとしているときに発症することも多いです。高齢者の場合暑さを感じにくくなっていますし、夜はむしろ家の中の方が気温が高いことも多いからです。
・環境庁の「熱中症予防情報サイト」も参考にしてください。(下記URL参考)熱中症の危険度の指標はWBGTというのを使います。(単位は℃です)31℃以上は危険、28~31℃は厳重警戒、25~28℃が警戒です。それぞれ地図上に赤、オレンジ、黄色で表現してますので、地図上で該当する地域にあたる人はご注意ください。
https://www.wbgt.env.go.jp/
スタッフを始め、協力していただいた方に感謝です。経口補水液を配ってくれたり、原稿を印刷して待合室の席に置いたり、PCの扱いに苦手な自分のためにセットしてもらったり、色々お世話になりました。
そして何よりも来ていただいた方に感謝です。
これからも色々な企画をしますので、よろしくね。