講演会「ピロリ菌についてもっと知ろう」ご報告|エルムクリニック 内科・消化器内科|長野県飯田市の内科・消化器内科

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講演会「ピロリ菌についてもっと知ろう」ご報告|エルムクリニック 内科・消化器内科|長野県飯田市の内科・消化器内科

講演会「ピロリ菌についてもっと知ろう」ご報告

暑い日が続きますが、皆さん、元気ですか?

さて、さる7月27日、ピロリ菌の講演会をさせていただきました。参加人数は6人と少なかったのですが、新しい人3人が来てくださったこと、今までの講演会の中で一番しっかりした内容になったと自負できる状態だったことがよかった点でした。

さて、それでは前回のブログで書いたクイズの回答を書きますね。

1.「ピロリ菌を除菌すると胃酸が活発に出るんでしょ。うちの子(20歳)は、逆流性食道炎があるから、除菌しないほうがいいのではないですか?」と言ったお母さんがいました。これは、適切な方針でしょうか?

回答:適切ではない。

理由:

①.20歳という年齢を考えると、ピロリ菌感染は胃の出口に近くに限局していることが考えられ(ピロリ菌感染は前庭部という胃の出口近くから始まる)、炎症の影響で胃酸はむしろ活発に出ており、逆に除菌によって逆流性食道炎が改善すると考えられるから。

②.胃癌のリスク>逆流性食道炎のリスクではないだろうか?

③.確かに逆流性食道炎の発症は増えるが、複数の研究によると、Grade A,Bのような軽症例がほとんどなので、それを理由に躊躇する必要はない。

 

 

上の写真の左は講演会のときに示した、逆流性食道炎軽症例の図です。左から、Grade M,A,Bです。食道の出口付近に炎症が起きます。

右の写真はピロリ感染の広がり方を示したもの。胃の出口付近から炎症が始まり、だんだん上の方に広がっていきます。

 

2.「この頃、胃が痛んだけれど、ピロリ菌にまた感染したのかなあ」、この解釈は正しいでしょうか?

回答:正しくない。

理由:

①.多くの場合、ピロリ菌に感染しても無症状です。

②.ピロリ菌感染は免疫力の弱い幼少期に起こり、大人になるとめったにかかりません。再感染の割合は少ないのです。

3.「ピロリ菌の除菌したから、もう胃癌の心配ないよね。でも職場の検診があるから、胃カメラは苦しいし、バリウム検査にしようと思う」、この方針は正しいでしょうか?

回答:正しくない。

①除菌によって、胃癌リスクは1/3~1/2ほど減るが、0にできないので、除菌後も定期的な検査が必要。

②胃カメラのほうが、バリウムより色調変化も見ることができ、疾患発見率が高い。

ピロリ菌除菌によって予防、改善できる疾患、除菌の具体的なお話、最後にA,B,C検診の説明をして、講演は終了しました。

原稿はとってあるので、更に加筆・訂正して、近年中にもう一度行いたいと思います。聞き逃した人、ぜひ来てね!