高齢者は降圧薬は必要ないは本当?|エルムクリニック 内科・消化器内科|長野県飯田市の内科・消化器内科

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高齢者は降圧薬は必要ないは本当?

 2019年に高血圧症のガイドラインが変わり、目標値が厳し目になった。
 口さがない人は、医師や製薬会社が儲かるように、そのようにしたという。
 また、和田秀樹さんは、『80歳の壁』の中で、「高齢者は、血圧や血糖値は下げなくていい」とおっしゃっていて、それを鵜呑みにして降圧薬を飲まない高齢者もいるかも知れない。
 が、医師や製薬会社の人は、健康のことなんて考えない金儲け主義の人たちなのだろうか?もちろん、私も含めて多くの医師はNOである。医師は当たり前のことだが、意外に良心的な人が多い。脳血管障害や心不全、心血管イベント予防の意味もあってそのようなガイドラインが定められたのである。
 では、和田秀樹さんや、一部の東洋医学の先生はデタラメを言っているのだろうか?それもNOである。高齢者は大なり小なり、動脈硬化を起こしており、血液を全身に行き渡せるためにはある程度の血圧が必要である。特に、脳や腎臓には血液を行き渡せる必要がある。
 私自身は後者の見地から甘めに管理していて、脳出血を防ぐために、収縮期の(高い方の)血圧を150以下にすればいいと(これは2014年のガイドラインの後期高齢者用のもの)言っている。が、例外が色々ある。

 動脈瘤がある人、大動脈解離がある人、抗血栓薬を飲んでいる人は出血イベントを避けるため、また心不全の人は心臓に負担をかけないために、厳しく降圧する必要がある。そういう方はガイドライン通り、診察室血圧を130/80以下に降圧したほうがいいだろう。なお、若い方の場合、高血圧自体が血管を傷つけ、将来の動脈硬化の原因になりうるので、厳し目にコントロールしたほうがいいと言われている。

 というわけで、人によってどこまで下げるかに違いはあるが、やはり高血圧の人には降圧は必要である。
では降圧を薬ではなく、生活習慣によって改善するのはどうだろうか、という問いかけについては、もちろんYesである。よく言われているように減塩は降圧効果が高いが、それ以上に効果が高いのは減量である。

 先日、駒ヶ根のステーキハウスに寄ったのです。私は、そこのオーナーがすっきりしていたので、びっくりしました。
Beforeの写真がないのが残念ですが、彼はここ数ヶ月で20Kg減量したとのこと。

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Beforeは、二重顎で、お腹はたっぷん。かかりつけ医に、糖尿病を指摘され、自分で直そうと、食習慣改善、ウォーキングを実行した結果自然に減量できたそうです。
なんと、おまけで血圧も下がったそうです。実は彼だけでなく、減量によって降圧できた人を何人か知っておりますし、ガイドラインでも肥満者は3%以上の減量で有効な降圧が得られると言っているんです。
食習慣改善の方法は、小麦粉、砂糖、肉食、コンビニ食を避け、和食中心で行ったそうです。

 お陰様で肥満外来には何人にも来ていただいておりますが、彼の方法を真似して欲しいですね。
 彼は、こういう食生活をしている自分がステーキ屋さんをしているのも変ということで、近々オーガニックレストランへの転身も考えているようです。

 砂糖のお話が出たついでに、先日木曽図書館にて健康啓蒙活動の展示がありましたが、ペットボトルの砂糖の量が展示されていたので載せますね。

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これだけの砂糖を舐めろと言われたら、大抵の人は口の中が甘ったるくなって不可能ではないでしょうか?冷えたものだと、甘みを感じにくくなるので要注意です。

 

 最後に減塩についてですが、減塩が有効な高血圧は、「水分溜め込み型の高血圧」の人です。塩分過多によって、体に水分が溜め込まれ、血圧があがってしまうのです。朝の血圧が夜の血圧より高い人はその可能性があります。
減塩の方法に、だしをきかせる、スパイスを使ってアクセントをつける、など言われていますが、東洋医学の先生は、無理に減塩するよりいい塩を使うことを勧めていて、私もそれに賛成です。昔ながらの海水を天日干ししたものがいいです。そういうものにはNaClの他にミネラルが含まれているので、からだにいいのです。最近は海水に微量プラスチックが含まれていますので、それを濾して作ったものが理想です。こういうものを使うと、塩自体が美味しいので、自然に適量を使えるようになります。
下記は私が今使っている塩です。普通の精製塩よりは高いですが、1個1000円の塩を買っても何年も持ちます。ファミレスで食事すれば1000円かかることも少なくないことを思えば有効な出費と思います。間違っても、化学調味料を代わりに使うなんてしないでね。
グルタミン酸ナトリウムは結果的にNaを取ってますし、自然に存在するものを取る分にはいいのですが、取りすぎると脳を興奮させ、怒りっぽくなる原因になります。

 もちろん、先に書いたように、出血性病変の危険がある人、血圧の高すぎる人は薬による降圧も必要です。
ケースバイケースで対応していきたいと思いますので、お気軽にご相談ください。