破傷風について|エルムクリニック 内科・消化器内科|長野県飯田市の内科・消化器内科

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破傷風について

 飯田市に住む65歳以上の方には、COVID19-9とインフルエンザの接種券が届いていますよね。

 当院でも、希望者のために、近々予防接種の用意をすると思います。医師の中には、ワクチン強力推奨者、反ワクの方、様々いらっしゃいます。私自身、今のところ、推奨もしなければ、反対もせず、希望者には対応する姿勢をとっています。ただし、重症化リスクの高い方には、COVID-19のほうは、不活性化ワクチンを勧めています。なぜなら、重症化リスクの高い方は副作用リスクも高いと思われ、副作用の少ない不活性化ワクチンを打ってもらったほうが安心だからです。ただし、不活性化ワクチンは注射液が2人分ずつ提供される状態であり、開封すると24時間しかもちませんので、できたら一緒に打ってくださる人を見つけて一緒に予約していただけると助かります。お一人で申し込まれた方は、日程調整させていただきますので、ご了承ください。

 院長のワクチンに対する考え方はこちら。

 そんななか、当院では少し前、破傷風の予防接種を1本用意しました。どなたかに打ったら一本ずつ補充する予定です。

 それは、破傷風はかかった場合の致死率が高く、ワクチンの予防効果も高く、戦時下の粗悪品接種の事故のほかは、副作用の話題を受けていない上、土壌にいる菌なので、感染機会があるからなのです。特に、1967年生まれ以前の方は、破傷風の定期接種を受けていないので、菌が入るような状況でケガをした場合は直ちに接種する必要があるのでした。なお、最終接種から10年以上経っている方も、予防接種をしたほうがいいのです。

 破傷風菌は芽胞という殻を持っているため、潜伏期間(3日から50日、平均10日から2週間)があるため、菌の毒素が取り込まれないうちにできるだけ早く、予防接種をして免疫を強化する必要があるのです。

 私が小学校4年生のとき、父が食事中に痙攣を起こし、倒れました。父は死を覚悟したのか、

「おかあさん、今までありがとう!僕が死んだら、葬式はキリスト教式で」ととぎれとぎれの息の中で言いました。

 父が死んでしまうと思い、私や妹、母親も泣いたものです。

 幸い、すぐ近くに国立高田病院(現上越地域医療センター:新潟県上越市)があり、そこに運ばれました。医師団は、破傷風か敗血症か迷ったようですが、手の傷跡を見て、破傷風と判断し、手の傷を開き洗浄、壊死組織の除去を行い、隣県である長野県から血清(破傷風免疫ヒトグロブリン)を取り寄せ注射。父親は奇跡的に回復し、その後30年生存しました。

 父の経過は破傷風の典型的な経過です。父は草取りをしていたとき、誤ってスコップで手を傷つけ、その傷から破傷風菌に感染したのですが、このように傷から土壌にいる破傷風菌により感染します。破傷風菌は芽胞を持っていて、酸素に弱いので、破傷風菌のいる土壌に触れてもふつうは発病しません。けれども、傷口が壊死してたりして血行不良だったり、酸素を好む菌と混合感染していると、芽胞が弱められて発芽します。活動性を持った破傷風菌は神経毒を産生し、その毒は神経の軸索というところに取り込まれます。その毒素はゆっくりと進んでいき、少しの刺激で筋肉に痙攣を起こすのでした。

 50台後半以上の方で、汚染された環境で傷を負った場合、犬、猫に噛まれた場合、すぐに破傷風の予防接種をしておいたほうが安全と思われます。当院では、ほかの予防接種は予約制をとっていますが、このような観点から、予備に1本破傷風の予防接種を置いています。万一のときに思い出していただけたら、幸いです。